相続税 × 生命保険 税務ハンドブック

みなし相続財産/生命保険契約に関する権利/保険料負担者・契約者・受取人のねじれまでを、相続税法・施行令・施行規則・基本通達・財産評価基本通達・裁判例・国税庁タックスアンサーの根拠つきで網羅。
最終更新:2026年7月25日(令和8年7月25日現在の法令等)

⚠ 最重要:相続税法12条1項の「号ズレ」(令和8年4月1日〜) 公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)の施行に伴い、相続税法12条1項に新4号(公益信託の受託者が遺贈により取得した信託財産)が挿入され、以降の号が1つずつ繰り下がりました。
内容令和8年3月31日まで現行(令和8年4月1日〜)
生命保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)12条1項5号12条1項6号
退職手当金等の非課税12条1項6号12条1項7号
心身障害者共済制度の給付金受給権4号5号
現行条文で「12条1項5号」と書くと心身障害者共済制度の給付金を指してしまいます。市販の実務書・過去の通達(相基通12-8、12-9)はまだ旧番号「第5号」表記のままなので、書面に条項号を記載する際は適用する相続開始日の版で確認してください。本サイトでは現行番号(6号・7号)を主とし、旧番号を併記します。 e-Gov現行条文で確認済

1全体像 ── 保険税務は「4つの登場人物」で決まる

生命保険の課税関係が複雑に見えるのは、ひとつの保険契約に立場の異なる4人が登場し、その組合せで税目が変わるからです。まずこの4者を分けて捉えることが出発点になります。

登場人物意味税務上の重要度
① 保険料負担者現実に保険料を出した人(原資の出捐者)最重要税目を決める主役。名義ではなく実質で判定(相基通3-16)
② 被保険者その人の生死が保険事故になる人重要「誰の死亡か」=相続税か否かの入口
③ 契約者保険約款上の契約当事者(名義人)補助的原則として課税の決め手にならない。ただし保険事故未発生のときだけ主役になる(相法3条1項3号)
④ 保険金受取人保険金を受け取る権利を持つ人最重要誰に課税されるかを決める。約款上の受取人が原則(相基通3-11)だが実質判定あり(同3-12)
◆ 貫かれている大原則:「契約者が誰か」ではなく「保険料を誰が出したか」 相続税法は一貫して保険料負担者を課税の基準に据えています。契約者名義を子に変えても、保険料を親が出していれば税務上は親のお金として追跡されます。これが「名義保険」問題の根っこであり、契約者変更をしただけでは課税が生じない理由でもあります。
法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金は、保険料の負担者の死亡により支払われるものに限られ、その死亡した者及びその受取人以外の者が保険料を負担していたものについては、法第5条第1項の規定により保険金受取人が保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなされるのであるから留意する。 ── 相続税法基本通達3-16(保険料の負担者が被相続人以外の者である場合)
例外はただ1つ:保険事故が発生していない契約(=生命保険契約に関する権利)は、保険料負担者が被相続人であることを前提に、「契約者」が取得したものとみなすため、契約者が誰かも結論を左右します(相法3条1項3号)。

1-2. 課税のタイミング ── 「入口では課税しない、出口で精算する」

保険税務のもうひとつの背骨が課税繰延べ構造です。契約者変更や名義書換の時点では課税せず、保険事故・満期・解約・相続開始という「出口」で、そこまでに誰がいくら保険料を負担したかの割合で一括精算します。

タイミング課税根拠
契約時なし
契約者変更時なし相法5条の課税要件(保険事故の発生/返還金の取得)を満たさないため
被保険者の死亡(保険事故発生)相続税贈与税所得税相法3条1項1号/相法5条1項/所法34条
満期・解約(返還金の取得)贈与税所得税相法5条2項/所法34条・所令183条2項
保険料負担者の死亡(保険事故は未発生)相続税相法3条1項3号(契約者が被相続人以外)/相基通3-36(1)(契約者も被相続人=本来の相続財産)
課税対象額 = 保険金等の額 × ( その人が負担した保険料 ÷ 保険事故発生時までに払い込まれた保険料の全額 )

※ 相法3条1項1号・同3号・5条1項に共通する按分算式。分母は「契約全期間の予定払込総額」ではなく「その時までに実際に払い込まれた額の全額」である点に注意。

2課税区分の三分岐 ── これがすべての土台

被保険者Aが死亡して保険金が支払われる場面。保険料負担者受取人の一致・不一致だけで税目が決まります。国税庁タックスアンサーNo.1750が示す基本表がこれです。

被保険者保険料負担者受取人税目根拠
A(被相続人)AB相続税相法3条1項1号(みなし相続財産)
非課税枠あり(相法12条1項6号)
ABB所得税所法34条(一時所得)/年金なら所法35条(雑所得)
非課税枠なし・1/2課税
ABC贈与税相法5条1項(BからCへの贈与とみなす)
最も重いことが多い
◆ 覚え方 「自分で出して自分でもらう」=所得税「死んだ人が出した」=相続税「生きている他人が出した」=贈与税
相続税ルートだけが500万円×法定相続人の数の非課税枠を使えます。一方、所得税ルートは払込保険料を全額控除+50万円特別控除+1/2課税という別の優遇があるため、単純に「相続税が有利」とは言えません。贈与税ルートだけは優遇が薄く、実務上は避けるべき組合せです。

2-2. 保険料を複数人で負担していたら?

実務でいちばん厄介なのがこのケースです。条文は「按分」を明記しており、1つの保険金が2つ以上の税目に割れます

例:死亡保険金3,000万円。払込保険料総額600万円のうち、被相続人(=被保険者)が400万円、受取人である子が200万円を負担。
  • 相続税部分:3,000万円 × 400/600 = 2,000万円(相法3条1項1号のみなし相続財産。非課税枠の対象)
  • 所得税部分:3,000万円 × 200/600 = 1,000万円(子の一時所得。収入1,000万円 − 自ら支出した保険料200万円 − 特別控除50万円 = 750万円 → その1/2の375万円を総所得に算入)
相法3条1項1号かっこ書相法5条1項所令183条2項2号所法22条2項2号

3死亡保険金=みなし相続財産(相法3条1項1号)

第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(…)の保険金(…)又は損害保険契約(…)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(…)について、当該保険金(…)のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分 ── 相続税法3条1項柱書・第1号(e-Gov現行条文)

3-1. なぜ「みなし」なのか

死亡保険金は、民法上は受取人固有の権利であり被相続人の遺産には属しません(最判昭和40年2月2日)。したがって相続によって承継されるものではなく、本来なら相続税はかかりません。しかし経済的には「被相続人の払った保険料が死亡を機に受取人へ移転した」のと同じであるため、担税力に着目して相続財産と「みなす」のが3条の趣旨です。

◆ ここが実務の分かれ目:民事と税務の断絶
民事上受取人固有の財産 → 遺産分割の対象外・原則として特別受益にもならない(最決平16.10.29)
税務上みなし相続財産 → 相続税の課税対象になる
「相続税がかかる=遺産分割で持ち戻す」ではありません。争族対策(民事)と節税対策(税務)は別々に設計する必要があります。

3-2. 損害保険の場合の限定

1号かっこ書は、損害保険の保険金については「偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る」と限定しています。傷害保険の死亡保険金などが該当します。他方、損害賠償責任に関する保険(自賠責保険・原子力損害賠償責任保険など)の保険金は除外されます(相令1条の4、相基通5-4)。

3-3. 保険金に「含まれるもの」

項目扱い根拠
分配を受ける剰余金保険金に含む相基通3-8(保険金とともに支払を受ける剰余金等)
500万円の非課税枠の対象にもなる
割戻しを受ける割戻金保険金に含む
払戻しを受ける前納保険料保険金に含む
契約者貸付金が控除された場合控除の額が課税対象相基通3-9(→ 第9節)
掛捨て(解約返戻金なし)の死亡保険金相続税死亡保険金である以上、掛捨てでも3条1項1号の対象。
※「掛捨て除外」は保険事故未発生の権利(3条1項3号)の話
◆ 国税庁「誤りやすい事例⑤」 保険金1,400万円+前納保険料の払戻し150万円のケースで、前納保険料を第11表付表4に別建てしたのは誤り合算1,550万円を第9表に記載し、全体をみなし相続財産として非課税枠の計算対象とするのが正しい取扱いです。
国税庁 相続税の申告書 誤りやすい事例⑤(PDF)

4非課税枠 500万円×法定相続人の数(相法12条1項6号/旧5号)

保険金の非課税限度額 = 500万円 × 相続税法15条2項に規定する相続人の数
六 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金…については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれイ又はロに定める金額に相当する部分
イ …被相続人の全ての相続人が取得した…保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(…「保険金の非課税限度額」…)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額 ── 相続税法12条1項6号(現行。令和8年3月31日以前の相続は「第5号」)

4-1. 「法定相続人の数」を決める5層構造

ルール根拠
民法第5編第2章による相続人を数える相法15条2項柱書
相続放棄はなかったものとする(放棄者も頭数に入る)相法15条2項柱書かっこ書
養子の数を制限:実子がいる → 1人まで/実子がいない → 2人まで相法15条2項1号・2号
実子とみなす例外:特別養子/配偶者の実子で被相続人の養子となった者(連れ子養子)/代襲相続人相法15条3項1号・2号
税務署長の否認:不当に相続税の負担を減少させる養子は算入しない相法63条
◆ 最大の落とし穴:放棄者は「分母」に入るが「非課税枠」は使えない
取扱い根拠
分母(500万円を乗じる頭数)放棄者も含める相法15条2項柱書「放棄がなかつたものとした場合における相続人の数」
非課税枠の適用対象者放棄者は対象外相法12条1項6号柱書「相続人の取得した」+相基通12-8
イの「全ての相続人が取得した保険金の合計額」放棄者の分は算入しない同上(分子・合計額の双方から除外)
設計上の帰結:放棄が想定される人を受取人にすると、その保険金には非課税枠が1円も使えません。ただし他の相続人の枠が減るわけでもありません(合計額の分母からも外れるため)。
相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。 ── 相続税法基本通達12-8(相続を放棄した者等の取得した保険金) ※通達は号ズレ前の「第5号」表記のまま。現行法では第6号。

4-2. 按分計算(複数の相続人が受け取った場合)

各相続人の非課税金額 = (500万円 × 法定相続人の数) × その相続人の取得保険金額 ÷ 全相続人の取得保険金の合計額

相法12条1項6号ロ相基通12-9 合計額が非課税限度額以下なら按分不要で全額非課税(同号イ)。国等への寄附で措置法70条1項・3項の適用を受ける部分がある場合は、その部分を控除した後の保険金額を基礎に計算します(相基通12-9)。

計算例:法定相続人3人(うち1人が相続放棄)。非課税限度額 = 500万円 × 3人 = 1,500万円。
死亡保険金:長男2,000万円、次男1,000万円、放棄した三男 1,000万円
  • 非課税枠の計算に用いる「全相続人の取得保険金の合計額」= 2,000+1,000 = 3,000万円(放棄した三男の1,000万円は含めない)
  • 長男の非課税額 = 1,500万円 × 2,000/3,000 = 1,000万円 → 課税価格算入 1,000万円
  • 次男の非課税額 = 1,500万円 × 1,000/3,000 = 500万円 → 課税価格算入 500万円
  • 三男 = 非課税なし → 1,000万円全額が課税価格に算入(遺贈により取得したものとみなす。ただし子なので2割加算は不要)

4-3. 退職手当金等の非課税枠は「別枠」

相法12条1項7号(旧6号)の退職手当金等の非課税枠も500万円×法定相続人の数で、生命保険金の枠とは完全な別枠です。法人契約の保険を死亡退職金の原資に充てる設計では、この二枚看板をどう使い分けるかが要点になります(→ 第13節)。按分計算は相基通12-10が12-8・12-9を準用します。

5保険事故が発生していない契約=「生命保険契約に関する権利」

被相続人が亡くなった時点で、被相続人が被保険者ではない保険契約が残っていることがあります(例:親が保険料を払い、子を被保険者とする学資保険・終身保険)。保険金は出ませんが、その契約には解約返戻金という財産価値があり、課税対象になります。相続税の申告漏れが最も多い論点のひとつです。

5-1. 4パターンの切り分け(最重要マトリクス)

契約者保険料負担者課税性質・遺産分割根拠
被相続人以外被相続人相続税みなし相続財産
契約者が取得したものとみなす
遺産分割の対象外
相法3条1項3号
被相続人被相続人相続税本来の相続財産
遺産分割の対象
相基通3-36(1)
(3条の適用はない)
被相続人被相続人以外課税なし保険料を負担していない契約者の地位に財産的価値を認めない相基通3-36(2)
誰でも誰でも課税なし掛捨て(一定期間内に保険事故が発生しなかった場合に返還金の支払がない契約)相法3条1項3号かっこ書
評基通214(注)1
⚠ 「みなし相続財産」か「本来の相続財産」かで結論が大きく変わる 契約者が被相続人以外のとき(相法3条1項3号)は、契約者がそのまま取得したものとみなされ、遺産分割協議の対象になりません。「この学資保険は長女が引き継いだのだから」と分割協議書に書いても、税務上は契約者に課税されます。
逆に契約者も被相続人のとき(相基通3-36(1))は本来の相続財産なので、遺産分割協議で誰が承継するかを決める必要があります。
いずれの場合も、500万円×法定相続人の数の非課税枠は使えません。非課税枠は「3条1項1号の保険金」=死亡保険金限定だからです(相法12条1項6号柱書)。

5-2. 評価は「解約返戻金相当額」

214 相続開始の時において、まだ保険事故(共済事故を含む。この項において同じ。)が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時において当該契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には当該金額を減算した金額)によって評価する。(平15課評2-24追加)
(注)1 本項の「生命保険契約」とは、相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険契約をいい、当該生命保険契約には一定期間内に保険事故が発生しなかった場合において返還金その他これに準ずるものの支払がない生命保険契約は含まれないのであるから留意する。
(注)2 被相続人が生命保険契約の契約者である場合において、当該生命保険契約の契約者に対する貸付金若しくは保険料の振替貸付けに係る貸付金又は未払込保険料の額(いずれもその元利合計金額とする。)があるときは、当該契約者貸付金等の額について相続税法第13条(債務控除)の適用があるのであるから留意する。 ── 財産評価基本通達214(生命保険契約に関する権利の評価)
評価額 = 解約返戻金の額 + 前納保険料 + 剰余金の分配額等 − 源泉徴収されるべき所得税額相当額
◆ 相法25条ではなく評基通214が使われる理由 相続税法25条(給付事由が発生していない定期金給付契約に関する権利の評価)は、かっこ書で「生命保険契約を除く」と明記しています。したがって生命保険契約の未発生の権利は25条の射程外となり、財産評価基本通達214で評価する ── これが条文上の切り分けです。
◆ 通達214の成立時期について(調査メモ) 評基通214は平成15年12月10日付 課評2-24ほかにより「新設」されたものです(新旧対照表の改正前欄は「(新設)」)。よく言われる「平成22年改正で解約返戻金相当額になった」という説明は、実際には定期金に関する権利(相法24・25、評基通200番台)の平成22年改正と混同されている可能性があります。実務書に引用する際は原典の確認を推奨

5-3. 申告書の記載箇所

保険事故未発生の「生命保険契約に関する権利」は、死亡保険金の第9表ではなく第11表の付表4に記載します(契約者が被相続人の場合=本来の相続財産)。国税庁「誤りやすい事例⑨」が具体例で注意喚起しています。
国税庁 誤りやすい事例⑨(PDF) タックスアンサー No.4660

6保険料負担者と契約者のねじれ ── 名義保険

契約者名義は子、しかし保険料は親の口座から出ている。この「ねじれ」が名義保険です。税務調査では名義預金とまったく同じ枠組みで判定されます。

6-1. 判定は「実質」── 裁決例が示す判断要素

平成10年9月2日裁決(裁決事例集No.56-144頁)
税法上、生命保険金受取人の取得した保険金が一時所得として所得税の課税対象となるのか、あるいは相続財産とみなされて相続税の課税対象となるのかは、その保険金に対応する保険料の負担者がだれであるかによって判定されるべき
G銀行口座は、名義人はJであっても、請求人の家事費等の支払いの一部に充てるために請求人が自己の営む事業に係る収入金の一部を入金していたものと推認される…本件保険料の実質負担者は、請求人と解するのが相当
認定の決め手:① 名義人以外の者の事業収入が当該口座に入金されていた ② 同口座から名義人以外の者の私的支出(国民年金掛金・家電代金)がなされていた ③ 名義人の労務対価とみられる定期・定額の入金がない
国税不服審判所 公表裁決
平成8年3月28日裁決(裁決事例集No.51-149頁) 「契約者を親としたのは保険外交員の手違いで、実際は子が保険料を負担していた」という事後的な主張が排斥された事例。
  • 契約成立前時点で当該口座の残高はわずか102円で、以後も子名義の入金がない
  • 契約者訂正の真意があるならまず保険会社に訂正申請するのが自然であり、領収証の事後発行は不自然(日付にも矛盾)
教訓:契約時点で資金原資が実在したかが決定的。後からの辻褄合わせは通用しません。 国税不服審判所 公表裁決
◆ 逆方向にも働く 実質判定は課税庁に有利にだけ働くわけではありません。平成元年3月31日裁決(No.37-65頁)は「長男の死亡に伴い父親が受け取った保険金は、被保険者である長男が負担した保険料に係るものであるから、みなし相続財産に該当する」として、一時所得ではなく相続税の対象と判断しています。

6-2. 保険金受取人の実質判定

通達内容
3-11
(原則)
「保険金受取人」とは、その保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険事故の発生により保険金を受け取る権利を有する者をいう。= 形式基準
3-12
(例外)
保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合において、保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことにつきやむを得ない事情があると認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときは、その者を保険金受取人とする。

3-12の要件は① 契約上の受取人以外の者が現実に取得 + ② 取得に「相当な理由」の二段構え。「変更手続未了のやむを得ない事情」は②の例示にすぎません(「〜など」の文言)。なお相法5条(贈与とみなす場合)でも同じ実質判定が働きます(相基通5-2)。

7契約者変更と59条2項「保険契約者等の異動に関する調書」

7-1. 契約者変更それ自体は非課税

「契約者を子に変えたら贈与税がかかりますか?」── かかりません。相法5条の課税要件は「保険事故が発生した場合」「返還金その他これに準ずるものの取得があった場合」であり、契約上の地位の移転だけでは要件を満たさないためです。

◆ ただし「何も起きない」わけではない 課税は繰り延べられて出口で精算されるだけです。旧契約者が負担した保険料は最後まで課税上追跡されます。実務では①変更時に誤って贈与税申告をしてしまう ②変更したから完了と考えて出口の申告を失念する、その双方が頻発します。

7-2. 相法59条2項の異動調書(平成27年度改正で創設)

保険会社等でこの法律の施行地に営業所等を有するものは、生命保険契約又は損害保険契約の契約者が死亡したことに伴いこれらの契約の契約者の変更の手続を行つた場合には、当該変更の効力が生じた日の属する年の翌年一月三十一日までに、財務省令で定めるところにより作成した調書を…提出しなければならない。ただし、当該変更の手続を行つた…契約が、解約返戻金に相当する金額が一定金額以下のものである場合その他の財務省令で定めるものである場合は、この限りでない。 ── 相続税法59条2項
59条1項(支払調書)59条2項(異動調書)
対象保険金の支払・退職手当金等の支給契約者の死亡に伴う契約者変更
提出期限支払った月の翌月15日まで効力発生日の属する年の翌年1月31日まで
除外基準保険金額等が100万円以下(相規30条3項)解約返戻金相当額が100万円以下ほか(相規30条6項)
適用平成30年1月1日以後に効力が生じる契約者変更から施行日は要原典確認
◆ この調書の実務インパクト 異動調書の記載事項には「解約返戻金相当額」「死亡した保険契約者等の払込保険料等」が含まれます。つまり税務署は、現金が1円も動いていない「生命保険契約に関する権利」の存在と評価額を、保険会社から直接把握できるようになりました。相続人も税理士も見落としやすい財産だったため、この制度で申告漏れの捕捉が格段に進んでいます。

射程の限界:対象は「契約者の死亡に伴う契約者変更」に限られ、生前の任意の契約者変更(親→子)は調書の対象外です。ただしその契約が将来解約・満期・保険金支払を迎えた際、59条1項の支払調書に契約者変更の回数と各人の払込保険料額が記載されるため、過去の名義変更も結局は捕捉されます。
国税庁 F2-4 保険契約者等の異動に関する調書

8相続放棄・相続人以外が受け取った場合

受取人の立場保険金を
受け取れるか
課税非課税枠
500万円×n
2割加算債務控除
相続人(放棄なし)相続により取得
とみなす
使える配偶者・一親等の血族は不要
相続放棄した相続人
(固有の権利)
遺贈により取得
とみなす
使えない
相基通12-8
子・配偶者なら不要
(血族関係は消滅しない)
×
相続人以外(孫・内縁配偶者等)遺贈により取得
とみなす
使えない必要
相法18条
×
…その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。 ── 相続税法3条1項柱書(この「例外列挙」が全論点の判定基準)
◆ この括弧書きが「機械的な判定表」になる ある控除が保険金だけを取得した相続放棄者に使えるかどうかは、その条文が上の例外列挙に入っているかで決まります。
制度放棄者に適用根拠
配偶者の税額軽減(19条の2)例外列挙に「第十九条の二第一項」あり
未成年者控除(19条の3)19条の3①「放棄がなかつたものとした場合における相続人」
障害者控除(19条の4)19条の4①(ただし居住無制限納税義務者に限る)
相次相続控除(20条)×例外列挙に入っていない。20条①は「相続人に対する遺贈」限定
債務控除・葬式費用(13条)×13条①柱書「包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る」
保険金非課税(12条①六)×柱書「相続人の取得した」+相基通12-8
要原典確認放棄者が現実に負担した葬式費用について実務上の緩和取扱い(相基通13-1)があるとされますが、原典での確認を推奨します。
◆ 放棄しても申告義務は残る 相続放棄をしても保険金は「遺贈により取得したもの」とみなされるため、相続税の申告義務が生じます。また課税時期は保険事故発生(死亡)時に固定され、受取人・受取額をめぐる訴訟が係属中でも申告は必要です(平成18年2月27日裁決/裁決事例集No.71-29頁)。同裁決は保険金の評価から弁護士費用を控除することも否定しています。

9契約者貸付金・剰余金・前納保険料

保険契約に基づき保険金が支払われる場合において、当該保険契約の契約者…に対する貸付金若しくは保険料…の振替貸付けに係る貸付金又は未払込保険料の額(いずれもその元利合計金額とし、以下3-9及び5-7においてこれらの合計金額を「契約者貸付金等の額」という。)があるため、当該保険金の額から当該契約者貸付金等の額が控除されるときの法第3条第1項第1号の規定の適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 被相続人が保険契約者である場合 保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する保険金及び当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する債務はいずれもなかったものとする
(2) 被相続人以外の者が保険契約者である場合 保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する部分については、保険契約者が当該相当する部分の保険金を取得したものとする── 相続税法基本通達3-9(契約者貸付金等がある場合の保険金)
⚠ 典型的な誤り:二重処理 (1)のケースで最も多い誤りが「保険金は総額で計上し、契約者貸付金を第13表で債務控除する」処理です。通達は「いずれもなかったものとする」と明確にこれを否定しています。
正しい処理:第9表に「保険金額 − 契約者貸付金等」の純額を記載し、貸付金は債務控除しない。結果として非課税枠(500万円×n)の判定対象となる保険金額も控除後の金額になります。
◆ (2)の落とし穴:受取人以外の人に課税が及ぶ 契約者と保険料負担者が異なる契約で契約者貸付を受けていた場合、控除された貸付金相当額は「保険契約者」が保険金を取得したものとされます。被相続人が保険料負担者であれば、その部分について契約者に相続税が及びます。契約者が相続人でなければ遺贈扱い+2割加算の検討も必要です。
なお未払込保険料も「契約者貸付金等の額」に含まれる点、また通達柱書が「以下3-9及び5-7において」としているとおり、相法5条のみなし贈与(満期保険金・生前給付)にも同じ概念が及びます。
◆ 場面が違えば結論も違う(3-9 と 評基通214注2) 保険事故が発生して保険金が支払われる場面(相基通3-9(1))は「保険金も債務もなかったものとする」=債務控除しない
一方、保険事故未発生で権利を評価する場面(評基通214(注)2)は、契約者貸付金・未払込保険料について相法13条の債務控除の適用がある
同じ「契約者貸付金」でも、どちらの局面かで処理が正反対になります。

10年金受給権と二重課税 ── 長崎年金訴訟

10-1. 年金受給権の取得=相続税

類型条文内容
給付事由未発生の定期金給付契約に関する権利相法3条1項4号被相続人が掛金・保険料を負担し、被相続人以外が契約者である場合。契約者について課税
保証期間付定期金
(死亡保険金の年金受取・年金支払保証期間内の死亡)
相法3条1項5号定期金受取人たる被相続人の死亡後、相続人その他の者が定期金受取人・一時金受取人となった場合
契約に基づかない定期金に関する権利相法3条1項6号退職年金の継続受取人の受給権など。ただし遺族年金等は各法の非課税規定により相続税は課税されない(相基通3-46)

10-2. 評価は相法24条 ── 「3つのうち最も多い金額」

類型
有期定期金
24①一
解約返戻金の金額一時金の給付を受けることができる場合の当該一時金の金額残存期間に応じ、1年当たりの平均額 × 予定利率による複利年金現価率
無期定期金
24①二
1年当たりの平均額 ÷ 予定利率
終身定期金
24①三
目的とされた者の余命年数に応じ、1年当たりの平均額 × 複利年金現価率
3条1項5号の一時金
24①四
その給付金額

要注意の方向違い:24条3項(一定期間かつ生存中に給付する契約)=有期として算出した金額と終身として算出した金額のいずれか少ない金額/24条4項(生存中給付し、死亡後は遺族等に継続給付)=いずれか多い金額。
余命年数は厚生労働省の完全生命表に掲げる年齢・性別に応じた平均余命(1年未満切捨て)によります(相令5条の8、相規12条の6)。解約返戻金の金額には剰余金の分配額等を加算し源泉所得税相当額を減算します(相基通24-3)。

10-3. 長崎年金二重課税訴訟(最判平成22年7月6日)

上告審最高裁第三小法廷 平成22年7月6日判決/平成20年(行ヒ)第16号/民集64巻5号1277頁
一審長崎地判 平成18年11月7日(平成17年(行ウ)第6号)納税者勝訴
控訴審福岡高判 平成19年10月25日(平成18年(行コ)第38号)国側逆転勝訴
結論原判決破棄・納税者逆転勝訴

事案:夫の死亡により妻が年金払特約付き生命保険契約の年金受給権を相続(相続税の課税対象)。その後、実際に支払を受けた各年の年金に雑所得として所得税が課された。

判旨の骨子:相続税法24条により年金受給権の相続税評価額は将来の各年金の現在価値の合計として算定されている。したがって各年金のうちその現在価値に相当する部分は既に相続税の課税対象となった経済的価値と同一であり、所得税法9条1項15号(当時。現行17号)にいう「相続により取得するもの」として所得税は非課税。他方、運用益に相当する部分は課税対象逐語原文は民集64巻5号1277頁で要確認

10-4. 判決後の課税方式=「階段方式」

生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金受給権を相続、遺贈または贈与により取得し、年金の支払を受けている方の、その支払を受ける年金に係る雑所得の計算は、年金の収入金額を非課税部分と課税部分に振り分けた上で計算をします。…支払を受けた年金について、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により計算します ── 国税庁タックスアンサー No.1620

11死亡退職金・弔慰金(相法3条1項2号)

11-1. 「3年以内」ルール

支給確定の時期課税根拠
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定相続税相法3条1項2号(みなし相続財産)
非課税枠 500万円×n あり(相法12条1項7号/旧6号)。所得税は非課税(所基通9-17)
3年経過後に支給が確定所得税相続税の対象外。支払を受ける遺族の一時所得(所基通34-2)

11-2. 弔慰金の非課税ライン

被相続人の死亡により相続人その他の者が受ける弔慰金、花輪代、葬祭料等…については、3-18及び3-19に該当すると認められるものを除き、次に掲げる金額を弔慰金等に相当する金額として取り扱い、当該金額を超える部分に相当する金額は退職手当金等に該当するものとして取り扱う
(1) 被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき … 死亡当時における賞与以外の普通給与(俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当等の合計額)の3年分に相当する金額
(2) 被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき … 同半年分に相当する金額 ── 相続税法基本通達3-20(弔慰金等の取扱い)
◆ 超過弔慰金は「非課税でなくなる」のではなく「退職手当金等に振り替わる」 3年分/半年分を超えた弔慰金は、退職手当金等の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使えるようになります。実務では弔慰金枠+退職手当金非課税枠の二段構えで検討します。
⚠ 「普通給与」に賞与は含まれない 通達3-20は「賞与以外の普通給与」と明記しています(タックスアンサーNo.4120は賞与の除外に触れていないため、通達原文の方が正確)。役員報酬を賞与偏重で組んでいる場合、弔慰金枠が想定より小さくなります。定期同額給与部分ベースで算定してください。
通達内容
3-18「退職手当金等」とは、その名義のいかんにかかわらず実質上被相続人の退職手当金等として支給される金品
3-19判定は① 退職給与規程その他これに準ずるものの定めがあればこれにより、②ない場合は被相続人の地位・功労等と同業他社の同様の地位にある者の受給額等を勘案
3-22「業務上の死亡」=直接業務に起因する死亡又は業務と相当因果関係があると認められる死亡
3-23労災保険の遺族補償給付・葬祭料、労基法の遺族補償、各共済組合の埋葬料等はそもそも退職手当金等に該当しない
3-24「給与」には現物で支給されるものも含む
3-25受給者:(1) 退職給与規程等で具体的に定めがあればその者 (2) 定めがない場合 → イ 現実に取得した者 ロ 相続人全員の協議で定めた者 ハ いずれでもなければ相続人全員が各人均等に取得したものとして取り扱う

12生前給付金(リビングニーズ特約・入院給付金)

12-1. リビングニーズ特約の生前給付金

局面課税根拠
受給時(被保険者本人・指定代理請求人が受領)所得税 非課税所法9条1項18号所令30条1号(身体の傷害に基因して支払を受けるもの)/所基通9-21
使い切れずに残った残額相続税本来の相続財産。現預金や他の財産に転化していても同じ
500万円×nの非課税枠使えない相法3条1項1号の「保険金」ではないため(相法12条1項6号柱書)
⚠「生命保険から出たお金だから500万円枠が使えるはず」は誤り リビングニーズ給付金の残額は、被相続人の手元にある現金と同じ本来の相続財産です。贈与すれば贈与税、別資産に組み替えても本来の相続財産であることに変わりありません。

要原典確認国税庁 質疑応答事例「リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金」(nta.go.jp)── 該当ページはShift_JIS配信のため機械読取りができず、引用は二次情報経由です。

12-2. 入院給付金・手術給付金の未受取分

給付金の受取人相続税所得税根拠
被相続人本人課税
未収の給付金請求権=本来の相続財産
非課税枠は使えない
非課税相法2条1項(金銭に見積もることができる経済的価値)
相続人(配偶者・子等)課税されない
受取人固有の権利
非課税所法9条1項18号+所令30条1号+所基通9-20(身体に損害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族が受け取る場合も適用)

実務上の要点:受取人が相続人であれば相続税も所得税もかかりません保険証券で給付金受取人がどちらになっているかの確認が申告漏れ防止の第一歩です。

◆ 準確定申告の医療費控除との関係(混同注意) 入院給付金は所得税が非課税でも、医療費控除では必ず差し引きます(所法73条1項「保険金…により補てんされる部分の金額を除く」)。「非課税だから差し引かなくてよい」は誤り。
ただし差引きは「その給付の目的となった医療費の金額を限度」とされ、給付金が実際の入院費用を上回っても他の医療費からは差し引きません(黒字部分の切捨て)。タックスアンサー No.1120

13法人契約の生命保険

13-1. 相続税側 ── 「保険金」か「退職手当金等」か

(雇用主が保険料を負担している場合)…ただし、雇用主が当該保険金を従業員の退職手当金等として支給することとしている場合には、当該保険金は法第3条第1項第2号に掲げる退職手当金等に該当するものとし、この取扱いを適用しない。 ── 相続税法基本通達3-17(ただし書)
平成12年9月20日裁決(裁決事例集No.60-491頁)── 1号/2号の振分け基準
雇用主が当該保険金を従業員の退職手当金等として支給することとしている場合には、当該保険金は相続税法第3条第1項第2号に掲げる退職手当金等に該当するものと解するのが相当であり、その判断は、雇用主である企業の定款、株主総会、社内規程、就業規則、労働協約等において、当該保険金が退職給付金として支給されるものである旨の意思が明らかにされているか否か等を考慮して行うのが相当である。
本件では役員退職慰労金の株主総会決議も社内規程の定めもなかったため、3条1項1号の生命保険金に該当と判断されました。国税不服審判所 公表裁決
◆ ここが事業承継設計の分水嶺 ── 使える非課税枠の「数」が変わる 法人が契約者・保険料負担者でも、遺族が受取人であれば被相続人の負担とみなされ3条1項1号(保険金)として課税されます。一方、社内規程・株主総会決議で「退職手当金として支給する」意思が客観的に明示されていれば3条1項2号(退職手当金等)になります。
12条1項6号(保険金の非課税枠)と7号(退職手当金等の非課税枠)はそれぞれ500万円×法定相続人の数の別枠です。したがって規程整備の有無で、使える枠が1枠か2枠かが変わり得ます。

13-2. 法人税側 ── 令和元年6月28日通達改正(バレンタインショック)

令和元年6月28日付 課法2-13ほか2課共同により法基通9-3-5が改正され、9-3-5の2が新設。適用は令和元年7月8日以後の契約(解約返戻金相当額のない短期払は令和元年10月8日以後の契約)から。

法基通9-3-5の2(対象:保険期間3年以上かつ最高解約返戻率50%超)

最高解約返戻率資産計上期間資産計上額取崩期間
50%超
70%以下
保険期間開始日から保険期間の40%相当期間経過日まで当期分支払保険料 × 40%保険期間の75%相当期間経過後から保険期間終了日まで(均等取崩し)
70%超
85%以下
同上(40%相当期間)当期分支払保険料 × 60%
85%超最高解約返戻率となる期間の終了日まで。ただしその後も解約返戻金の対前期増加額÷年換算保険料相当額 > 70%の期間があるときはその終了日まで。5年未満なら5年(保険期間10年未満は保険期間の50%相当期間)当期分支払保険料 × 最高解約返戻率 × 70%
(開始日から10年経過日までは90%
解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間の経過後から保険期間終了日まで
⚠ 85%超の資産計上額を「支払保険料×90%」と誤らないこと 正しくは 当期分支払保険料 × 最高解約返戻率 × 90%(10年経過後は70%) です。
また30万円特例(年換算保険料相当額が一の被保険者につき30万円以下なら9-3-5により全額損金)は「50%超70%以下」の区分限定。9-3-5(注2)の30万円(解約返戻金相当額のない短期払)とは別建ての判定なので混同注意。いずれも「一の被保険者につき」の判定で複数契約を合算します。

この改正で個別通達5本が廃止されました:昭54.6.8直審4-18(新成人病保険)/昭62.6.16直法2-2(長期平準定期保険等。逓増定期保険の取扱いを含む)/平元.12.16直審4-52(介護費用保険)/平13.8.10課審4-100(がん保険・医療保険)/平24.4.27課法2-5(がん保険)。

法基通9-3-4(養老保険)── 受取人の組合せで3類型

区分死亡保険金受取人生存保険金受取人取扱い
(1)法人法人契約終了時まで全額資産計上
(2)被保険者の遺族被保険者当該役員・使用人に対する給与
(3)
ハーフタックス
(福利厚生プラン)
被保険者の遺族法人1/2を資産計上、残額は期間の経過に応じて損金算入。ただし役員又は部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には残額はその者に対する給与

普遍的加入が大前提です。役員のみ・特定の部課長のみを被保険者にすると、1/2損金部分が丸ごと給与課税に転じます。なお(2)・(3)ただし書により給与とされる保険料は毎月おおむね一定であることから定期同額給与に該当します(同通達注2)。

13-3. 逆ハーフタックスプランと最判平成24年1月13日

最高裁第二小法廷 平成24年1月13日判決(平成21年(行ヒ)第404号)国側逆転勝訴

事案:契約者=法人、被保険者=役員、死亡保険金受取人=役員(遺族)/満期保険金受取人=法人という「逆」パターン(9-3-4のどの類型にも当てはまらない)。個人が保険金を受け取った際、法人が負担・損金経理した保険料まで含めた全額を一時所得の計算上控除できるかが争点。

一時所得に係る支出が、所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それがその収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならない
結論:貸付金経理部分(1/2)は控除可、法人が損金経理した部分(1/2)は控除不可
国税庁 税務訴訟資料 第262号-5(順号11855)PDF / 同種事案:最判平成24年1月16日(順号11856)(役員報酬として損金経理された部分は控除可)

13-4. 名義変更プランと所基通36-37改正(令和3年6月25日)

低解約返戻金型の保険を、返戻率が低い期間に法人から役員個人へ低額で譲渡し、返戻率が跳ね上がってから個人が解約する ── いわゆる名義変更プラン。国税庁は個別否認ではなく通達改正で封じました

内容
改正前「…保険契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額により評価する。」
改正後原則は支給時解約返戻金の額。ただし⑴ 支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利(法基通9-3-5の2の適用を受けるものに限る)→ 支給時資産計上額により評価。 復旧可能な払済保険等 → 支給時資産計上額+9-3-7の2により損金算入した金額
改正趣旨第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されない」(解説PDF)
適用令和3年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給から
◆ 入口と出口はセットで見る 令和3年改正で入口(名義変更時の給与課税額)が支給時資産計上額まで引き上げられた結果、個人側の給与課税が跳ね上がりスキームの経済合理性が失われました。他方、最判平24.1.13の原則により出口(個人による解約)で控除できるのは「自ら負担して支出した」保険料に限られ、給与課税された評価額は控除可(所基通34-4(2)、(注)1)です。
補足調査の範囲では、名義変更プランを正面から否認した公表裁判例・公表裁決は確認できませんでした。ただしこれは「安全」を意味しません。改正前は通達の文言上スキームが成立してしまっていたため課税庁が争えず、改正で塞いだという経緯です。
国税庁 所基通36-37 改正(令和3年6月25日)

14外貨建て保険の邦貨換算

外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関が公表する課税時期における最終の為替相場(対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。)による。…課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。なお、先物外国為替契約を締結していることにより為替相場が確定している場合には、当該契約により確定している為替相場による。
(注)…外貨建てによる債務を邦貨換算する場合には、上記の「対顧客直物電信買相場」を「対顧客直物電信売相場」と読み替えて適用する。 ── 財産評価基本通達4-3(邦貨換算) ※国税庁ページはShift_JIS配信のため逐語照合は未了。タックスアンサーNo.4665が根拠通達として評基通4-3を掲記し同旨を記述。
局面換算備考
外貨建て死亡保険金相続開始日のTTB保険金請求権は被相続人の死亡時に発生する外貨建て金銭債権。「保険金支払日」ではない(実務上の整理)正面から扱った一次資料は未確認
外貨建て債務TTS評基通4-3(注)
相続開始日〜実際の受取日の為替変動所得税相続税ではなく受取人の所得の問題
受取後に外貨を円転した際の差損益雑所得所法35条・36条・57条の3第1項

留意:「取引金融機関」は納税義務者が選択でき、相続人ごとに異なる金融機関のレートを用いることも可能とされます。また円換算特約付きの外貨建て保険で保険会社が円貨で支払う契約は、そもそも保険金請求権が円建てとなり得るため契約内容の確認が必要です。

15民事上の扱い ── 特別受益・遺留分

最高裁 平成16年10月29日 決定(平成16年(許)第11号/民集58巻7号1979頁)
被相続人が自己を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人と指定して締結した養老保険契約に基づく死亡保険金請求権は、その保険金受取人が自らの固有の権利として取得するのであって、保険契約者又は被保険者から承継取得するものではなく…民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらない

もっとも、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。

(特段の事情の判断要素)保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである

15-1. 下級審の「特段の事情」判断例

裁判例保険金額遺産に対する比率結論
東京高決 平成17年10月27日(家月58巻5号94頁)1億570万円104.3%持戻し肯定
名古屋高決 平成18年3月27日(家月58巻10号66頁)5,154万円61.19%持戻し肯定
大阪家堺支審 平成18年3月22日(家月58巻10号84頁)428万円6.16%否定
東京地判 令和5年12月1日約1億5,000万円
(遺産約9億円)
約15%持戻し肯定
⚠ 比率だけで安全ラインは引けない 東京地判令5.12.1は約15%でも持戻しを肯定しています。「6割超なら危険・1割なら安全」という単純な閾値論は成立しません。介護・同居・各相続人の生活実態といった非数値要素の比重が大きいのが実態です。保険金だけが突出して大きい設計はリスクであり、保険金以外の遺産取得のバランスと、受取人の介護貢献の記録化が有効です。

15-2. 遺留分との関係

民法1044条3項が遺留分算定に算入する贈与を「903条1項の贈与」に限定しているため、903条類推で持戻し対象となれば遺留分の基礎財産にも取り込まれる、というのが実務の通説です。この連結を正面から判示した最高裁判例は確認できず
平成30年民法改正で遺留分侵害額請求は金銭債権化(民法1046条1項)されたため、保険金受取人は保険金を原資に金銭で支払う設計が可能になりました。持戻し対象とされても現物返還は生じません。

16他の相続税特例との関係

論点結論根拠
未分割申告と配偶者の税額軽減保険金は受取人固有の財産で遺産分割の対象でないため、19条の2第2項の「共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていない財産」に文言上該当せず、未分割申告でも2号ロの課税価格から除外されない(=軽減が使える)条文文言からの解釈相法19条の2第1項2号ロ・2項
小規模宅地等の特例対象は「宅地等」に限られ保険金に直接適用の余地なし。措法69条の4第4項は19条の2第2項と同一の文言構造で、宅地は分割必須/保険金は分割不要という対比が条文上明確措法69条の4第1項柱書・4項
代償分割の原資に保険金を充てる代償分割の計算式に「代償金の原資が何か」は登場しない。保険金を原資としても計算方法は変わらない相基通11の2-9、11の2-10
No.4173
2割加算保険金のみ取得でも「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当し適用対象。孫(非代襲)→対象/孫養子(非代襲)→18条2項本文により対象/代襲相続人たる孫養子→但書により対象外/兄弟姉妹→対象/相続放棄した子→対象外相法18条1項・2項
No.4157
相次相続控除放棄者には適用不可(3条1項柱書の例外列挙に20条が入っていない)相法20条1項柱書
No.4168
相続時精算課税で贈与した資金で子が加入した保険贈与財産(現金)は21条の15で相続税の課税価格に加算されるが、被相続人が保険料を負担していない以上、保険金は3条1項1号のみなし相続財産に当たらない(=二重課税は生じない)相法21条の15第1項、3条1項1号

17保険料贈与プランと否認リスク

親が子に現金を贈与し、子がその資金で自ら契約者として親を被保険者とする保険に加入する(契約者=子/被保険者=親/受取人=子)。成立すれば保険金は子の一時所得(50万円控除・1/2課税)となり、贈与した現金も親の相続財産から外れます。

⚠ 成否のすべては「贈与が実体として成立しているか」 贈与が否認されれば保険料負担者は親のままと認定され(名義保険)、死亡保険金は相法3条1項1号のみなし相続財産として相続税課税に引き戻されます。過少申告加算税・延滞税、悪質と判断されれば重加算税のリスクも。

17-1. 昭和58年9月 国税庁事務連絡「生命保険料の負担者の判定について」

実務要件の直接の根拠とされる文書。存在は複数の独立した実務解説が一致して引用していますが、「直資2-305」等の発遣番号は確認できず。国税庁「相続税関係 個別通達目次」にも昭和58年発遣の該当通達は掲載されておらず、法令解釈通達ではなく「事務連絡」(国税局宛の内部連絡文書)であるためと考えられます。引用する際は「昭和58年9月 国税庁事務連絡『生命保険料の負担者の判定について』」と表記するのが安全です。

内容(引用されている要旨):子等から「保険料の支払資金は父親等から贈与を受けた現金を充てていた」旨の主張があった場合は、事実関係を検討のうえ、次の資料により贈与の事実の心証が得られたものについてはこれを認める

  1. 毎年の贈与契約書
  2. 過去の贈与税申告書
  3. 所得税の確定申告書等における生命保険料控除の状況
  4. その他贈与の事実が認定できるもの

とくに⑶が国税庁自身の判定材料として挙がっている点が決定的で、「子が生命保険料控除を受ける」ことが単なる慣行ではなく実質要件である理由がここにあります。

17-2. 否認されないための7要件と典型的な否認事由

#要件内容
1贈与契約書毎年その都度作成。日付・署名押印
2現金の贈与であること「保険料」の贈与ではない。親が保険会社に直接払い込まない
3資金トレース子名義口座への送金 → 子の口座から引落し。通帳・印鑑・カードは子が管理
4贈与税の申告・納税基礎控除110万円超で贈与し、あえて申告・納税して外形を作るのが実務上の定石
5生命保険料控除は子が受ける親が控除を取っていると致命的(昭58事務連絡⑶に真っ向から反する)
6契約形態契約者=子/被保険者=親/受取人=子
7子に受贈の認識贈与は諾成契約。未成年者の場合は親権者が代理
◆ 有利不利は必ず試算を 贈与プランが成立すると保険金は一時所得となるため、500万円×法定相続人の数の非課税枠は使えません。また相続開始前7年以内の生前贈与加算(令和5年度改正、令和6年1月1日以後の贈与から段階適用)により直近の贈与は相続財産に加算されるため、長期・早期の実行が前提になります。どちらが有利かは事案ごとの試算が必須です。
なお国税不服審判所の分類ページには「毎年保険料相当額の贈与を受け、その保険料の支払に充てていた場合における受取保険金は相続により取得したものとはみなされないとした事例」という見出しの公表項目が存在します(裁決年月日・本文は確認できず)。

18申告実務 ── 記載箇所と典型的な誤り

財産記載箇所非課税枠
500万×n
遺産分割
死亡保険金(+剰余金・割戻金・前納保険料)第9表
生命保険金などの明細書
対象対象外
生命保険契約に関する権利(保険事故未発生・契約者=被相続人)第11表の付表4対象外対象
生命保険契約に関する権利(契約者=被相続人以外・相法3①三)第11表の付表4対象外対象外
死亡退職金第10表対象
(別枠)
3-25による
リビングニーズ給付金の残額・未収の入院給付金第11表(本来の相続財産)対象外対象

典型的な申告誤りチェックリスト

  • □ 前納保険料の払戻しを保険金と別建てにしてしまった(→ 合算して第9表。誤りやすい事例⑤)
  • □ 契約者貸付金を保険金総額計上+債務控除の二重処理にした(→ 純額で第9表、債務控除しない。相基通3-9(1))
  • □ 保険事故未発生の「生命保険契約に関する権利」を計上し忘れた(→ 59条2項の異動調書で捕捉される。誤りやすい事例⑨)
  • □ 相続放棄した受取人に非課税枠を適用してしまった(→ 相基通12-8)
  • □ 非課税限度額の「法定相続人の数」から放棄者を除いてしまった(→ 相法15条2項。放棄はなかったものとする)
  • □ リビングニーズ給付金の残額に500万円枠を適用してしまった(→ 本来の相続財産)
  • □ 入院給付金の受取人が被相続人なのに未収請求権を計上し忘れた
  • □ 弔慰金の「普通給与」に賞与を含めて計算してしまった(→ 相基通3-20は「賞与以外の普通給与」)
  • □ 年金受取の死亡保険金について、相法24条の評価と所得税の階段方式(所令185)の両方を検討したか
  • □ 外貨建て保険を支払日のレートで換算してしまった(→ 相続開始日のTTB)
◆ この判定ツールの使い方 質問に順に答えると、課税区分(相続税/贈与税/所得税/課税なし)・計算方法・根拠条文・実務上の注意点を表示します。
判定の主役は「保険料を実際に負担したのは誰か」です。契約者名義ではなく、資金の出どころで答えてください。
※ 本ツールは条文・通達に基づく一般的な整理です。個別事案の最終判断は必ず原典と専門家の確認をお願いします。
◆ 本タブの読み方と信頼性の表示 確認済e-Gov法令検索・国税庁サイトで実際に内容を確認したもの
要原典確認国税庁サイトの一部(法令解釈通達・質疑応答事例)はShift_JIS配信のため機械的な読み取りができず、二次情報源経由の記載になっているもの。実務書面に引用する際はブラウザで原典を開いて逐語照合してください。

1相続税法(昭和25年法律第73号)

e-Gov法令検索 相続税法 全条文 確認済

条文見出し/内容要旨
2条1項相続税の課税財産の範囲「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」=未収の入院給付金請求権等が本来の相続財産となる根拠
3条1項柱書相続又は遺贈により取得したものとみなす場合相続人であれば「相続により取得」、相続人以外であれば「遺贈により取得」とみなす。かっこ書の例外列挙(15条・16条・19条の2①・19条の3①・19条の4①・63条、および「15条2項に規定する相続人の数」)が、各種控除が放棄者に使えるかの判定基準になる
3条1項1号生命保険金・損害保険金被相続人の死亡により取得した保険金のうち、被相続人が負担した保険料の額 ÷ 死亡時までに払い込まれた保険料の全額の割合に相当する部分。損害保険金は「偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る」
3条1項2号退職手当金等被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む)
3条1項3号生命保険契約に関する権利相続開始時にまだ保険事故が発生していない生命保険契約(掛捨てを除く)で、被相続人が保険料を負担し、被相続人以外が契約者であるもの → 契約者について課税
3条1項4号定期金給付契約に関する権利給付事由が発生していない定期金給付契約で、被相続人が掛金等を負担し被相続人以外が契約者であるもの
3条1項5号保証期間付定期金定期金受取人たる被相続人の死亡後、相続人その他の者が定期金受取人・一時金受取人となった場合
3条1項6号契約に基づかない定期金契約に基づくもの以外の定期金に関する権利
3条2項被相続人の被相続人が負担した保険料被相続人の被相続人が負担した保険料は被相続人が負担したものとみなす(先代以前には適用なし=相基通3-48)
3条3項遺言による払込み被相続人の遺言により払い込まれた保険料は被相続人が負担したものとみなす
5条1項保険金の贈与とみなす場合保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によって負担されたときは、その割合に相当する部分を保険料を負担した者からの贈与とみなす。かっこ書で「傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く」
5条2項返還金等への準用返還金その他これに準ずるものの取得があった場合に1項を準用(解約返戻金など)
5条3項被相続人が負担した保険料保険料を負担した者の被相続人が負担した保険料は、その者が負担したものとみなす
5条4項相続税との調整3条1項1号・2号により相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合は、その部分に5条1項を適用しない
12条1項6号
(旧5号)
保険金の非課税相続人の取得した」3条1項1号の保険金について。:全相続人の取得保険金の合計額が非課税限度額(500万円×15条2項の相続人の数)以下 → 全額非課税。:超える場合 → 非課税限度額 ×(当該相続人の取得額 ÷ 全相続人の取得額の合計)
12条1項7号
(旧6号)
退職手当金等の非課税6号と同一構造。限度額も500万円×15条2項の相続人の数(保険金とは別枠
13条1項債務控除柱書かっこ書「包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る」→ 相続放棄者は債務控除・葬式費用控除の対象外
15条2項法定相続人の数相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数」。養子は1号:実子あり又は養子1人 → 1人/2号:実子なく養子2人以上 → 2人
15条3項実子とみなす者1号:特別養子配偶者の実子で被相続人の養子となった者(連れ子養子)等。2号:代襲相続人
18条1項・2項相続税額の2割加算「一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む)及び配偶者以外の者」は20%加算。2項:直系卑属が養子となっている場合は一親等の血族に含まない(但書:代襲相続人となっている場合を除く)
19条の2配偶者の税額軽減1項2号イ:法定相続分相当額(1億6,000万円に満たない場合は1億6,000万円)/ロ:配偶者の課税価格。2項:未分割財産は2号ロから除外(3年以内分割で救済)
19条の3第1項未成年者控除「相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人」=放棄者にも適用可。18歳未満、10万円×18歳までの年数
19条の4第1項障害者控除19条の3①の相続人に該当し障害者である場合。納税義務者要件は未成年者控除より狭く居住無制限納税義務者のみ
20条1項相次相続控除柱書かっこ書「被相続人からの相続人に対する遺贈を含む」に限定 → 放棄者には適用不可
22条評価の原則(時価)
24条1項定期金に関する権利の評価給付事由が発生しているもの。1号有期/2号無期/3号終身につき、イ 解約返戻金/ロ 一時金/ハ 予定利率による計算額いずれか多い金額。4号:3条1項5号の一時金 → その給付金額
24条2〜5項同上(特例)2項:終身定期金の目的者が申告期限までに死亡した場合。3項:一定期間かつ生存中に給付 → 有期・終身のいずれか少ない金額。4項:死亡後も遺族等に継続給付 → いずれか多い金額。5項:3条1項6号に準用
25条給付事由未発生の定期金給付契約に関する権利かっこ書「生命保険契約を除く」。1号(解約返戻金の定めなし)→ 一時払は予定利率の複利元利合計、それ以外は複利年金終価率による額 × 90%。2号(それ以外)→ 解約返戻金の金額
59条1項保険金受取人別支払調書等支払った月の翌月15日まで。100万円以下は不要(相規30条3項)
59条2項保険契約者等の異動に関する調書契約者が死亡したことに伴い」契約者変更の手続を行った場合、効力発生日の属する年の翌年1月31日まで。解約返戻金相当額100万円以下等は除外(相規30条6項)。※生前の任意の契約者変更は対象外
63条養子の数の否認養子の数を相続人の数に算入することが「相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合」、税務署長は算入しないで計算できる

2相続税法施行令・施行規則

e-Gov 相続税法施行令 e-Gov 相続税法施行規則 確認済

条文見出し内容
令1条の2生命保険契約等の範囲1項:法3条1項1号の「政令で定める契約」=保険業法上の生命保険会社等との保険契約、簡易生命保険契約、農協・漁協・消費生協・中小企業等協同組合等の生命共済契約、小規模企業共済契約等。2項:損害保険契約=損害保険会社との契約及び各種協同組合の傷害共済契約
令1条の3退職手当金等に含まれる給付の範囲国家公務員共済/地方公務員等共済/私学共済/確定給付企業年金/企業年金連合会/確定拠出年金/適格退職年金契約等(8号)/中退共/小規模企業共済/社会福祉施設職員等退職手当共済 に基づく年金・一時金に関する権利
令1条の4贈与とみなされる損害保険契約の保険金法5条1項の政令で定める保険金=自賠責保険・原子力損害賠償責任保険その他の損害賠償責任に関する保険・共済の保険金「以外」の保険金
令1条の5返還金等が課税される損害保険契約法5条2項の政令で定める損害保険契約=損害賠償責任保険以外で傷害を保険事故とするもの
令5条の8終身定期金の余命年数法24条1項3号ハの余命年数=「年齢及び性別に応じた厚生労働省の作成に係る生命表を勘案して財務省令で定める平均余命」
規12条の5複利年金現価率法24条1項1号ハ。給付期間の年数は有期=残存期間(1年未満切上げ)、終身=令5条の8の余命年数。小数点以下3位未満四捨五入
規12条の6平均余命厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命(1年未満の端数は切捨て)」
※「完全生命表」の語は政令ではなく施行規則にあります
規12条の7複利年金終価率法25条1号ロ
規30条調書の記載事項等1項:保険金受取人別支払調書の記載事項(受取人情報、保険金額、保険契約に係る保険料の総額直前の契約者の情報契約者変更があった場合の関連事項)/3項:法59条1項ただし書の額=100万円/5〜7項:異動調書の記載事項/6項:除外契約(解約返戻金相当額100万円以下、掛捨て、団体契約、マンション管理組合の共用部分損害保険等)

3相続税法基本通達

目次:nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm ※旧URLパス /sisan/sozoku/ はすべて404。現行は sozoku2

3-1. 第3条関係〔保険金関係〕3-1〜3-17

通達本文

番号見出し要旨
3-8保険金とともに支払を受ける剰余金等みなし取得とされる保険金には、分配を受ける剰余金・割戻しを受ける割戻金・払戻しを受ける前納保険料で保険金とともに受取人が取得するものを含む
3-9契約者貸付金等がある場合の保険金柱書に「未払込保険料の額」を含む旨を明記。(1) 被相続人が契約者:控除後の額を取得したものとし、控除相当額の保険金及び債務はいずれもなかったものとする(2) 被相続人以外が契約者:控除相当部分は保険契約者が取得したものとする
3-11「保険金受取人」の意義保険約款等の規定に基づいて保険事故の発生により保険金を受け取る権利を有する者(=形式基準)
3-12保険金受取人の実質判定契約上の受取人以外の者が現実に保険金を取得しており、変更手続がなされていなかったことにやむを得ない事情があると認められる場合など、取得について相当な理由があるときは、その者を受取人とする
3-16保険料の負担者が被相続人以外の者である場合3条1項1号の保険金は保険料の負担者の死亡により支払われるものに限られ、死亡した者及び受取人以外の者が保険料を負担していたものは法5条1項により贈与とみなされる(=3条と5条の振分けの基本規定)
3-17雇用主が保険料を負担している場合雇用主が保険料を負担する場合の取扱いを(1)〜(3)に区分。ただし書:「雇用主が当該保険金を従業員の退職手当金等として支給することとしている場合には、当該保険金は法第3条第1項第2号に掲げる退職手当金等に該当する」
よくある誤解の訂正:3-16は「保険契約に関する権利の意義」ではなく「保険料の負担者が被相続人以外の者である場合」、3-17は「保険料の負担者の判定」ではなく「雇用主が保険料を負担している場合」です。「生命保険契約に関する権利」関係の通達は 3-34〜3-39 にあります。

3-2. 第3条関係〔退職手当金関係〕3-18〜3-33

通達本文

番号見出し要旨
3-18退職手当金等の取扱いその名義のいかんにかかわらず実質上被相続人の退職手当金等として支給される金品
3-19退職手当金等の判定① 退職給与規程その他これに準ずるものの定めによる ② ない場合は地位・功労等と同業他社の同様の地位にある者の受給額等を勘案
3-20弔慰金等の取扱い(1) 業務上の死亡:賞与以外の普通給与の3年分/(2) 業務上の死亡でない:同半年分超える部分は退職手当金等に該当するものとして取り扱う
3-21普通給与の判定非常勤役員等で死亡当時に賞与のみで普通給与がなかった場合の擬制的算定
3-22「業務上の死亡」等の意義「業務」=割り当てられた仕事。「業務上の死亡」=直接業務に起因する死亡又は業務と相当因果関係があると認められる死亡
3-23退職手当金等に該当しないもの労災保険法・国家公務員災害補償法・労基法・各共済組合法・健康保険法・船員保険法等に基づく遺族補償金・葬祭料・埋葬料・弔慰金等
3-24「給与」の意義現物で支給されるものも含む
3-25退職手当金等の支給を受けた者(1) 規程に具体的な定めがあればその者/(2) ない場合:イ 現実に取得した者 → ロ 相続人全員の協議で定めた者 → ハ 相続人全員が各人均等に取得したものとして取扱う
3-26「その他退職給付金に関する信託又は生命保険の契約」の意義令1条の3第8号関係。掛金・保険料の負担者がだれであるかは問わない
3-27「これに類する契約」の意義雇用主が退職手当金等を支給する事業を行う団体に掛金を納付する契約(中退共等)

3-3. 第3条関係〔生命保険契約に関する権利関係〕3-34〜3-48

通達本文

番号見出し要旨
3-34保険金受取人が死亡した場合の課税関係保険事故未発生で、死亡した受取人が契約者でも保険料負担者でもない場合は課税関係は生じない
3-35契約者が取得したものとみなされた生命保険契約に関する権利3条1項3号でみなし取得とされた部分は、そのみなされた時以後は当該契約者が自ら保険料を負担したものと同様に取り扱う
3-36被保険者でない保険契約者が死亡した場合(1) 保険料を負担している場合(3条1項3号のみなし取得を含む)→ 当該権利は本来の相続財産(2) 保険料を負担していない場合課税しない
3-37保険契約者の範囲3条1項3号の「契約者」には当該契約に関する権利を承継した者を含む
3-38保険金受取人が取得した保険金で課税関係の生じない場合3条1項3号でみなし取得済の部分・自己の負担保険料に対応する部分は相続財産とならない
3-39「返還金その他これに準ずるもの」の意義生命保険契約の解除(減額を含む)・失効により支払を受ける金額、被保険者の自殺等で保険金が支払われない場合の払戻金等
3-40〜3-45定期金関係受取人死亡、給付事由発生前の契約者死亡、掛金負担者死亡、解除、保証据置年金 等(3-44:3条1項4号・5号の按分計算は3-13・3-14に準ずる)
3-46契約に基づかない定期金に関する権利3条1項6号には退職年金の継続受取人の受給権のほか船員保険法・厚生年金保険法の遺族年金等があるが、各法の非課税規定により相続税は課税されない
3-47退職手当金等を定期金として支給する場合定期金の方法で支給される退職手当金等も3条1項2号として課税
3-48「被相続人の被相続人」の意義3条2項本文は被相続人の被相続人が負担した保険料等についてのみ適用。先代以前には適用なし

3-4. 第5条関係 5-1〜5-7

通達本文

番号内容
5-1法5条1項により贈与とみなされる保険金については、3-6及び3-8から3-10までの取扱いに準ずる
5-2法5条1項の「保険金受取人」については、3-11及び3-12の取扱いに準ずる(=贈与課税でも実質判定が働く)
5-3「保険金受取人以外の者が負担した保険料」等の計算については、3-13及び3-14の取扱いに準ずる
5-4損害賠償責任に関する保険・共済に基づく保険金(令1条の4関係)。自動車保険搭乗者傷害危険担保特約等を列挙
5-5搭乗者保険等:(1) 被相続人が保険料を負担した部分 → 法3条1項1号/(2) 被相続人及び受取人以外の者が負担した部分 → 法5条1項
5-6返還金その他これに準ずるものの取扱いの準用
5-7生命保険契約の転換があった場合(3-9の「契約者貸付金等の額」の概念がここにも及ぶ)

3-5. 第12条関係(非課税財産)

通達本文

番号見出し要旨
12-8相続を放棄した者等の取得した保険金「相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。」
通達は号ズレ前の「第5号」表記のまま(現行法は第6号)
12-9保険金の非課税金額の計算(500万円 × n)× B ÷ A n=15条2項の相続人の数/A=各相続人が取得した保険金の合計額の総額/B=当該相続人の取得額。A ≦(500万円×n)なら按分不要で全額非課税。措置法70条1項・3項の適用を受ける部分は控除した後の保険金額を基礎に計算
12-10保険金についての取扱いの準用「相続を放棄した者等の取得した退職手当金等及び退職手当金等の非課税金額の計算については、12-8及び12-9の取扱いに準ずる
→ 退職手当金等には独立の按分算式条文はなく、12-10が12-9を準用する構造

3-6. 第24条・第25条関係

通達本文 ※平成22年度税制改正に伴い平成22年6月17日付で整備(新旧対照表PDFあらまし

番号見出し要旨
24-1「定期金給付契約に関する権利」の意義財産評価基本通達 第8章第3節との整合を示す定義規定
24-2年金により支払を受ける生命保険金等の額年金で支払を受ける生命保険金等の額は法24条により計算した金額による。一時金なら当該一時金の額
24-3解約返戻金の金額法24条1項1号イ・2号イ・3号イの解約返戻金の金額=解約返戻金 + 剰余金の分配額等源泉徴収されるべき税額に相当する金額
24-4解約返戻金の金額等がない場合
25-1解約返戻金の金額法25条2号の解約返戻金の金額について24-3を準用

4財産評価基本通達

番号見出し要旨・出典
4-3邦貨換算納税義務者の取引金融機関が公表する課税時期における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)による。課税時期に相場がない場合は課税時期前で最も近い日。先物外国為替契約で確定している場合はその相場。(注)外貨建て債務はTTSに読み替え
通達本文No.4665 逐語照合は未了
193配当期待権の評価214の控除項目「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」の定義(特別徴収されるべき道府県民税相当額を含む旨)が置かれている
214生命保険契約に関する権利の評価まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は解約返戻金の額(+前納保険料・剰余金の分配額等、−源泉徴収されるべき所得税額相当額)で評価。(注)1 掛捨ては含まれない/(注)2 契約者貸付金・未払込保険料は相法13条の債務控除の対象
平成15年12月10日付 課評2-24 により新設新旧対照表PDF
通達本文 逐語確認済

5所得税法・施行令・基本通達

条文・通達内容
所法9条1項18号非課税所得。損害保険会社等の保険契約に基づく保険金・損害賠償金で心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
確認済所令30条柱書が「法第九条第一項第十八号」と受けていることで裏付け(かつては17号)
所令30条1号身体の傷害に基因して支払を受ける保険金・給付金・共済金等(=リビングニーズ給付金・入院給付金の非課税根拠)
所基通9-20身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等:支払を受ける者が身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族である場合にも適用がある
所基通9-21高度障害保険金・高度障害給付金・入院費給付金等は令30条1号の「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当する
所法22条2項2号一時所得の金額の2分の1に相当する金額を総所得金額に算入
所法34条2項・3項一時所得の金額=総収入金額 − その収入を得るために支出した金額(直接要した金額に限る)− 特別控除額(50万円
所法35条雑所得(年金形式で受け取る場合)
所法73条1項医療費控除。対象は「保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く」もの
所法174条8号金融類似商品。保険期間等が5年以下のもの及び5年を超えるものでその初日から5年以内に解約されたものに基づく差益
所令298条5項「一時払等」の要件:初日から1年以内に保険料総額の1/2以上、または2年以内に3/4以上を支払う方法
措法41条の10金融類似商品の源泉分離課税(所得税15%)。+復興特別所得税0.315%+地方税5%=20.315%
所令183条1項年金=雑所得。1号:支払開始日以後の剰余金・割戻金は総収入金額に算入/2号:必要経費=その年の年金額 ×(保険料等の総額 ÷ 支払総額または見込額)/4号:割合は小数点以下2位まで、3位以下切上げ
所令183条2項一時金=一時所得。1号:一時金とともに/支払を受けたの剰余金・割戻金は総収入金額に算入/2号:保険料又は掛金の総額は支出した金額に算入(ただし書で企業年金・小規模企業共済等の掛金を除外)
所令183条4項3号★実務上最重要:事業を営む個人又は法人が使用人(役員を含む)のために支出した保険料で必要経費・損金に算入されるもののうち、これらの使用人の給与所得に係る収入金額に含まれないものの額は保険料総額から控除する
「2項2号にこの除外がある」は誤り。正しくは4項3号
所令183条4項4号一時金の支払日に受けた剰余金の分配・割戻金、または保険料の払込みに充当した剰余金・割戻金の額は保険料総額から控除
所令185条・186条相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算(平成22年政令第214号により改正・新設)。185条2項に新相続税法対象年金の課税割合を規定
所基通34-2遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等 → 死亡後3年経過後に確定した退職手当金等は遺族の一時所得
所基通34-4一時所得の金額の計算上控除する保険料等。(1) 支払を受ける者が自ら支出したもの/(2) 他者が支出したが自ら負担して支出したと認められるもの。(注1)使用者が支出した保険料で36-32により給与等として課税されなかったものは(2)に含まれる。(注2)相続税法により相続・遺贈・贈与により取得したものとみなされる部分は(2)に含まれない
第34条関係 ※第34条関係は34-1〜34-4の4本のみ(34-5は存在しません)
所基通36-37保険契約等に関する権利の評価。令和3年6月25日改正(適用:令和3年7月1日以後の支給)。⑴ 支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%未満である保険契約等(法基通9-3-5の2の適用を受けるものに限る)→ 支給時資産計上額により評価/⑵ 復旧可能な払済保険等 → 支給時資産計上額+9-3-7の2により損金算入した金額
改正趣旨:「第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されない
改正通達新旧対照表PDF解説PDF
措法97条の2生保年金二重課税判決を受けた特別還付金(過去5年を超える分)

6法人税基本通達

第9章第3節 保険料等 令和元年6月28日改正(課法2-13ほか2課共同) FAQ

通達内容
9-3-4養老保険に係る保険料。(1) 死亡・生存とも法人 → 全額資産計上/(2) 死亡=遺族・生存=被保険者 → 給与(3) 死亡=遺族・生存=法人(ハーフタックス)→ 1/2資産計上・残額は期間の経過に応じて損金。ただし役員又は部課長その他特定の使用人のみを被保険者とする場合は残額は給与。(注2)給与とされる保険料は定期同額給与に該当
9-3-5定期保険及び第三分野保険に係る保険料。(1) 受取人が法人 → 期間の経過に応じて損金/(2) 受取人が被保険者又はその遺族 → 期間の経過に応じて損金。ただし役員又は部課長その他特定の使用人のみを被保険者とする場合は給与。(注1)保険期間が終身の第三分野保険は116歳までを計算上の保険期間とする。(注2)解約返戻金相当額のない短期払で年換算保険料相当額が一の被保険者につき30万円以下なら支払日の属する事業年度に損金算入可
9-3-5の2相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合(保険期間3年以上・最高解約返戻率50%超)。3区分の資産計上ルール(TAB1 第13節の表を参照)。30万円特例は50%超70%以下の区分限定。(注3)複数生じる場合は最も遅い期間による。(注5)契約内容の変更があった場合は変更後の内容で再判定
趣旨説明PDF
9-3-7の2払済保険への変更(所基通36-37⑵から引用される)
廃止された
個別通達
昭54.6.8 直審4-18(新成人病保険)/昭62.6.16 直法2-2(長期平準定期保険等。逓増定期保険の取扱いを含む)/平元.12.16 直審4-52(介護費用保険)/平13.8.10 課審4-100(がん保険・医療保険)/平24.4.27 課法2-5(がん保険)
適用開始改正後9-3-5・9-3-5の2 → 令和元年7月8日以後の契約/9-3-5(注2)→ 令和元年10月8日以後の契約

7民法

e-Gov 民法

条文内容
903条1項特別受益者の相続分。死亡保険金は原則としてここにいう「遺贈又は贈与に係る財産」に当たらないが、著しい不公平がある特段の事情があれば類推適用(最決平16.10.29)
1042条1項遺留分の割合(直系尊属のみ1/3、それ以外1/2)
1043条1項遺留分算定の基礎財産=相続開始時の財産+贈与財産−債務全額
1044条1項・3項算入する贈与。相続人に対する贈与は10年以内で、かつ婚姻・養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与(=903条1項の贈与)の価額に限る
1046条1項遺留分侵害額請求の金銭債権化(平成30年改正):「遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」→ 保険金を原資に金銭で支払う設計が可能

8裁判例・裁決例

8-1. 最高裁判例

裁判例争点判旨・結論
最決 平成16年10月29日
平成16年(許)第11号
民集58巻7号1979頁
死亡保険金請求権と民法903条(特別受益)原則:受取人が自らの固有の権利として取得するもので、903条1項の遺贈・贈与に係る財産に当たらない
例外:「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により…特別受益に準じて持戻しの対象となる」
考慮要素:保険金の額、遺産の総額に対する比率、同居の有無、介護等の貢献の度合い、各相続人の生活実態等
最判 平成22年7月6日
平成20年(行ヒ)第16号
民集64巻5号1277頁
(長崎年金二重課税訴訟)
相続税の課税対象となった年金受給権に基づく個々の年金への所得税課税は二重課税か原判決破棄・納税者逆転勝訴。相続税法24条により年金受給権の評価額は将来の各年金の現在価値の合計として算定されているから、各年金のうちその現在価値に相当する部分は既に相続税の課税対象となった経済的価値と同一であり、所得税法9条1項15号(当時。現行17号)により所得税は非課税。運用益に相当する部分は課税対象。
一審:長崎地判平18.11.7(平17(行ウ)6号)納税者勝訴/控訴審:福岡高判平19.10.25(平18(行コ)38号)国側勝訴
判旨の逐語原文は民集で要確認
最判 平成24年1月13日
第二小法廷
平成21年(行ヒ)第404号
(逆ハーフタックス養老保険事件)
法人が負担・損金経理した保険料を、個人の一時所得の計算上「その収入を得るために支出した金額」として控除できるか原判決破棄・国側逆転勝訴。「一時所得に係る支出が、所得税法34条2項にいう『その収入を得るために支出した金額』に該当するためには、それがその収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならない」。貸付金経理部分(1/2)は控除可、法人が損金経理した部分(1/2)は控除不可
税務訴訟資料 第262号-5(順号11855)PDF
最判 平成24年1月16日
第一小法廷
同種事案(医療法人)役員報酬として損金経理された部分は控除可、保険料として損金経理された部分は控除不可
税務訴訟資料 第262号-6(順号11856)PDF
最判 昭和40年2月2日
民集19巻1号1頁とされる
死亡保険金請求権の性質「右請求権は、保険契約の効力発生と同時に右相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産より離脱している巻号頁は要確認
最判 平成14年11月5日
民集56巻8号2069頁
死亡保険金請求権の発生時期被保険者死亡時に初めて発生し、払込保険料と等価関係に立たない要確認

8-2. 下級審裁判例(特別受益の持戻し)

裁判例保険金額遺産に対する比率結論
東京高決 平成17年10月27日(家月58巻5号94頁)1億570万円104.3%持戻し肯定
名古屋高決 平成18年3月27日(家月58巻10号66頁)5,154万円61.19%持戻し肯定
大阪家堺支審 平成18年3月22日(家月58巻10号84頁)428万円6.16%否定
東京地判 令和5年12月1日約1億5,000万円約15%持戻し肯定

出典:(一社)日本共済協会「共済と保険」2023.10 判例研究 PDF

8-3. 国税不服審判所 公表裁決

裁決争点・要旨
平成10年9月2日
裁決事例集No.56-144頁
kfs.go.jp
保険料負担者の実質判定。「税法上、生命保険金受取人の取得した保険金が一時所得として所得税の課税対象となるのか、あるいは相続財産とみなされて相続税の課税対象となるのかは、その保険金に対応する保険料の負担者がだれであるかによって判定されるべき」。名義人以外の事業収入が入金され、名義人以外の私的支出がなされていた口座からの引落しについて、実質負担者は名義人以外の者と認定。棄却
平成8年3月28日
裁決事例集No.51-149頁
kfs.go.jp
「保険外交員の手違い」との事後的主張を排斥。契約成立前時点の口座残高がわずか102円であったこと、訂正申請をせず領収証を事後発行したことの不自然性を指摘。棄却
平成12年9月20日
裁決事例集No.60-491頁
kfs.go.jp
3条1項1号(保険金)/2号(退職手当金等)の振分け基準。「その判断は、雇用主である企業の定款、株主総会、社内規程、就業規則、労働協約等において、当該保険金が退職給付金として支給されるものである旨の意思が明らかにされているか否か等を考慮して行うのが相当」。本件は決議・規程がなく1号に該当
平成18年2月27日
裁決事例集No.71-29頁
kfs.go.jp
相続人全員が放棄し保険金請求訴訟が係属中の課税処分。「『保険金を取得した』とは、相続又は遺贈により相続財産を取得したのとその経済的実質において同視できる状態になったことをいう」→ 取得時期は死亡時。放棄者は相法13条の「相続人」に当たらず債務控除不可。弁護士費用の控除も否定
平成18年6月30日
裁決事例集No.71-299頁
kfs.go.jp
最判平24.1.13と同旨を先取り。「満期生命保険金の受取人以外の法人が負担した保険料については、受取人が実質的に負担したものではないのであるから、…『その収入を得るために支出した金額』には含まれない」
平成元年3月31日
裁決事例集No.37-65頁
「長男の死亡に伴い父親が受け取った保険金は、被保険者である長男が負担した保険料に係るものであるから、みなし相続財産に該当する」── 実質判定が納税者・課税庁いずれにも働くことを示す例本文URL未確認
(年月日未確認)
分類ページ
「毎年保険料相当額の贈与を受け、その保険料の支払に充てていた場合における受取保険金は相続により取得したものとはみなされないとした事例」── いわゆる保険料贈与プランを審判所が容認した唯一の公表項目裁決年月日・本文は確認できず。引用時は裁決事例集原本またはTAINS等で必ず日付を確認のこと

9国税庁タックスアンサー・質疑応答事例

No.タイトル要点
4114相続税の課税対象になる死亡保険金500万円×法定相続人の数。「法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」/非課税は相続人が受け取った保険金に限られ「相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません」
4108相続税がかからない財産7項目の列挙。第4号:生命保険金等のうち500万円×n/第5号:退職手当金等のうち500万円×n
4105相続税がかかる財産みなし相続財産=「死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など」
4117相続税の課税対象になる死亡退職金死亡後3年以内に支給が確定したもの。非課税限度額500万円×n
4120弔慰金を受け取ったときの取扱い業務上の死亡=普通給与の3年分/業務外=半年分。超過部分は退職手当金等
※賞与の除外に触れていないため、通達3-20原文の方が正確
4123相続税等の課税対象になる年金受給権評価は「相続税法第24条または第25条の規定に基づき解約返戻金相当額など」による
4170相続人の中に養子がいるとき実子あり1人・実子なし2人。実子とみなされる者の範囲。相法63条による否認
4157相続税額の2割加算
4168相次相続控除「相続の放棄をした人および相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されません」
4173代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算相基通11の2-9、11の2-10
4660生命保険契約に関する権利の評価相続開始時に保険事故が発生していない契約は解約返戻金の額で評価。掛け捨ては評価しない。根拠:評基通193、214
4665外貨(現金)の邦貨換算根拠:評基通4-3
4417贈与税の対象になる生命保険金URLは /zoyo//sozoku/4417.htm は404。「保険料を負担していない人が、満期や解約または被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保険金の贈与があったものとされます。しかし、けがや病気などによるものは除かれます」根拠:相法3、5
1750死亡保険金を受け取ったとき課税関係の三類型表(被保険者A/負担者B/受取人B=所得税、A/A/B=相続税、A/B/C=贈与税)
1755生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき負担者=受取人なら所得税、異なれば贈与税。短期の一時払養老保険等は源泉分離課税で完結
1610保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金雑所得。源泉徴収 10.21%、控除後残額25万円未満なら源泉徴収なし
1615遺族の方が支払を受ける個人年金死亡した人が保険料負担者なら相続税、いずれも負担していなければ贈与税
1620相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係階段方式。「年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法」。旧/新相続税法対象年金の区分
1490 / 1520一時所得金融類似商品と税金
1120医療費を支払ったとき入院給付金は「保険金などで補填される金額」として医療費から差し引く。「その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます」
5363 / 5364養老保険の保険料の取扱い定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い法人契約

9-2. 質疑応答事例・文書回答事例・誤りやすい事例

資料内容
質疑応答事例「生命保険契約について契約者変更があった場合」関係法令通達:相法5条2項、相基通3-36Shift_JISのため本文未取得
質疑応答事例「リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金」受領後に被保険者が死亡した場合、入院費用等に充てられた後の相続開始時点における残額は死亡した被保険者に係る本来の相続財産二次情報経由
質疑応答事例「生命保険金の受取人が2人いる場合の一時所得の金額の計算」本文未取得
東京国税局 文書回答事例(平成27年5月28日)保険料負担者(保険契約者)以外の者が受け取る生存給付金の課税上の取扱い
東京国税局 文書回答事例(令和2年3月9日)相続等に係る米ドル建保険年金の邦貨換算及び所得計算について(所法57条の3第1項、所令185条2項、所基通57の3-7)
誤りやすい事例⑤(PDF)生命保険金とともに払戻しを受ける前納保険料は保険金と合算して第9表に記載する
誤りやすい事例⑨(PDF)保険事故が発生していない生命保険契約(契約者が被相続人)は本来の相続財産として第11表の付表4に解約返戻金相当額を記入
相続税の申告のしかた(令和7年分用)申告書様式・記載例
法定調書 F2-4 保険契約者等の異動に関する調書記載事項:新保険契約者等/死亡した保険契約者等/被保険者等/解約返戻金相当額/既払込保険料等の総額/死亡した保険契約者等の払込保険料等/評価日/保険等の種類/保険会社等

10調査メモ:訂正事項と未確認事項

10-1. 実務で広く流通しているが誤りである記載

よくある記載正しくは
相法12条1項5号=保険金の非課税、6号=退職手当金等令和8年4月1日以降は6号=保険金、7号=退職手当金等(公益信託に関する法律に伴う新4号挿入による繰下げ)
相基通3-16=保険契約に関する権利の意義/3-17=保険料の負担者の判定3-16=「保険料の負担者が被相続人以外の者である場合」、3-17=「雇用主が保険料を負担している場合」。「生命保険契約に関する権利」関係は3-34〜3-39
「業務上の死亡」の意義は相基通3-233-22(3-23は「退職手当金等に該当しないもの」)
評基通214は平成22年改正で解約返戻金相当額になった平成15年12月10日付 課評2-24により「新設」。平成22年改正の対象は定期金(相法24・25/評基通200番台)
非課税額の按分の根拠は相法12条2項12条1項6号ロ(12条2項は公益事業用財産の2年内不供用の規定)
相基通19の3-1により相続放棄者は未成年者控除・障害者控除の対象外。相法19条の3第1項は明文で「放棄がなかつたものとした場合における相続人」としており適用可。適用不可なのは相次相続控除(20条)
所令183条2項2号に事業主負担保険料(給与課税されていない部分)の除外がある183条4項3号(2項2号ただし書は企業年金・小規模企業共済等の掛金の除外規定)
リビングニーズの非課税根拠は所法9条1項17号現行は第18号(所令30条柱書が「法第九条第一項第十八号」と受けている)
相令1条の3=生命保険契約の定義、8条=退職手当金1条の2=生命保険契約等の範囲、1条の3=退職手当金等に含まれる給付の範囲。8条は「更正の請求の対象となる事由」(法32条関係)で無関係
タックスアンサー No.4417 は /sozoku/ 配下/zoyo/4417.htm(贈与税ディレクトリ)。/sozoku/4417.htm は404
国税庁通達URLは /sisan/sozoku/現行は /sisan/sozoku2/(旧パスは全て404)
東京高決平17.10.27の保険金は遺産総額の約6割104.3%(約6割は名古屋高決平18.3.27の61.19%)

10-2. 本サイト作成時点で一次資料による確認ができなかった事項

以下は実務書面に引用する前に必ず原典で確認してください。国税庁の /law/tsutatsu/ /law/shitsugi/ /information/ 配下のページはShift_JIS配信のため機械的な読み取りができず、ブラウザで開けば正常に読めます。
  • 相基通 3-1〜3-7、3-10、3-13、3-14(保険料負担額・払込保険料総額の計算)、3-15 の本文
  • 相基通 3-17 の(1)(2)(3)各号の細目/3-23 の列挙各号の逐語
  • 相基通 24-1〜24-4、25-1 の逐語本文
  • 相基通 13-1(相続を放棄した者等の葬式費用)── 「放棄者が現実に負担した葬式費用は控除して差し支えない」という取扱いがあるとされるが未確認
  • 相法59条2項の施行日(平成30年1月1日以後の契約者変更という点。複数ソースで一致するが改正法附則は未確認)
  • 評基通4-3の逐語本文/外貨建て債務=TTSの但書
  • 評基通214の新設前(平成15年12月10日以前)の「払込保険料×70%」ルールの所在
  • 外貨建て死亡保険金の換算基準日を正面から扱った国税庁の質疑応答事例・通達
  • 令和3年改正の所得税側 発遣番号「課個3-9」(二次情報1件のみ)
  • 昭和58年9月 国税庁事務連絡「生命保険料の負担者の判定について」の発遣番号(「直資2-305」は確認できず。事務連絡であるため番号が付されていない可能性が高い)
  • 保険料贈与プランを容認した公表裁決の年月日
  • 生保年金判決後の特別還付金制度の条文・支給要件(措法97条の2)

10-3. 「確認できなかった」こと自体に意味がある事項

以下は網羅的な検索の結果、公表裁判例・公表裁決が見当たらなかったものです。これは「争いが少ない」ことを示唆する一方、「安全である」ことを意味しません
  • 死亡保険金の非課税枠を正面から争った公表裁決・裁判例(国税不服審判所「非課税財産」カテゴリの収録は寺院敷地・有料老人ホーム入居金のみ)── 条文文言が明快なため争訟に至らないことの現れ
  • 相続税法5条そのものの解釈を争った事例(審判所「みなす贈与財産」カテゴリの収録4件はすべて相法9条の事案)── 争点は事実上「誰が保険料を負担したか」に収斂する
  • 一時払終身保険×総則6項の否認事例(総則6項の主戦場である「時価の意義」カテゴリは全件が不動産事案)── 保険は時価と相続税評価額の乖離が構造的に生じにくく、非課税枠は法が明文で認めた優遇であるため
  • 名義変更プランを否認した公表裁判例・裁決── 課税庁は個別否認ではなく通達改正(所基通36-37の令和3年改正)で対応した。税務大学校論叢99号(令和2年)が同スキームを正面から分析しながら裁判例を一件も引用していないことが傍証
  • 契約者貸付金に関する裁判例・裁決── 相基通3-9で明確に整理されているため
総括:保険分野への当局の対応は「個別否認」ではなく「通達改正」が基本です。これが否認裁判例の乏しい構造的理由であり、裏を返せば先例がないことは安全を意味しません